北アルプス縦走DAY2 ~常念岳~
昨日の登りでつりかけた足や、ザックが食い込んだ肩など、
体中の疲労がどの程度回復しているかを感じ取る瞬間。
目覚めた感触としては、以外にも右肩の痛みが和らいでいてホッとした。
足の痛みも回復している。体調は問題なさそうだ。
4時20分、日の出の撮影の為、外に出る。
空は大分明るく、雲がなく蒼い。
雲海がドラマチックに湧き上がっていて美しい情景。
凛として引き締まった空気が、ここに居る全員を包み込んだ。
僕は、山の空気でこの時間帯が一番好きかもしれない。
今日の長野県の日の出時刻は4:41の予定。
高地だからもう少し早いかと思ったが、ほぼ時間通りにやってきた。
槍、月明りに映える

八ヶ岳連峰

富士山と南アルプス


緊張感が漂う


4:40



IXY930IS


槍ヶ岳モルゲンロート



笠ヶ岳

鷲羽岳?方面


素晴らしい日の出だった。
昨年、まだ山を始めて間もなかった僕たちは、同じこの3連休に乗鞍の富士見岳で日の出を見た。
あの時、空がもっと赤かったように思ったが、この1年、あの景色が心に焼きついて離れなかった。
またこの高さから日の出をみると心に決めていた。
それに応えてくれたかのような今日の天気。
最高の朝を迎えることが出来た。
昨年の乗鞍登山は、僕たちに山の素晴らしさを教えてくれるものだった。
この日と同じくらい快晴で、槍・穂高がはっきりと見え、
スケールの大きい景観、綺麗な空気、花、全てが初めて見る光景で、
こんなに素晴らしい景色があるなんてそれまで知らなかった。
本当に感動し、鳥肌が立ちっぱなしの状態で、幸せな時間が流れた。
普段の生活でも山の事を考える時間が増え、
いつしか山雑誌を毎月数冊は購入している状態になっていた。
それから金剛山や大峰・台高へ毎週通うようになり、
それに応じて写真の被写体も山の風景が中心になった。
今日の日の出は、そんな僕たちの原点を思い出させる懐かしい情景だった。
さあ、今日はどうしようか、嫁さんと打ち合わせる。
嫁さんは昨日訴えてた腹痛が薬ですっかり良くなり、
二人とも調子がいいので、常念小屋まで行くことに決定。
昨日登らなかった燕岳は、往復約1時間のロスを考え、
大変残念だが今回はパスすることに。
普通ではありえないと思うが、今日の行程と僕たちの実力を考えて潔く決定。
またいつか必ず来るからな~。

朝の光線は本当にいい雰囲気が出る。射光も立体感を出すのに役立っている。

朝食をとりテントを撤収。
6時50分、縦走開始。これから歩く道が竜の背のように続いている。
この景色を見ると気持ちが高ぶってくる。


蛙岩付近。
全然蛙に見えないが、昔は蛙みたいだったのだろうか?
この辺はちょっとしたガレになっているところもある。


IXY930IS

快適で気持ちいい縦走路。
終始、槍の展望を眺めながら歩くことが出来る素晴らしいトレールだ。

シナノキンバイ

ハクサンチドリ。巻き道の途中でポツンと咲いていた。
この辺りは道が細くなっていて岩場もあり注意が必要。

7時45分。
大下りの頭付近?ここまできてようやく大天井岳までの道のりがはっきり見えた。
目の前の下り坂と、最後の登りがちょっとキツそうに見える。
まだ2時間以上掛かりそう。

休憩を終え、再び縦走路を歩き始める。
標準ズームのテレ端側で圧縮効果を狙った。

大天井岳と大天荘。
空と緑、MARUMIのPLフィルターが抜群に効いている。
Kenkoのフィルターの上にSIGMAレンズのキャップを嵌めようとすると
フィルター側のネジ1列分くらいしかキャップが嵌らない。
プロテクター、ND、PL全てそうなので、最近我が家のフィルター群は
MARUMI製が増えてきている。

9時10分。
休憩の回数が多くなってくる。
大天荘は見えてるのに距離が縮まる感じがしない。
時刻は9時を回り、日差しが強くなってきた。
昨日焼けた両腕がヒリヒリしてきたので、UVスプレーをふり直す。

反対方面に目をやると、岩の殿堂・剣岳か?
今はその気は全くないが、いつか登る時が来るのだろうか?

大天井岳と槍ヶ岳

10時20分。
最後のトラバースの登りの途中で、来た道を振り返る。
喜作レリーフの梯子、大下り、燕岳、
あぁ、あんなところからここまで歩いて来たんだなあと思うと感慨深い。
しかしこのトラバースの登りはすぐに息が切れる。段差の高い岩場が連続するなか
日差しも痛いレベルになってきた。歩いては休憩、歩いては休憩を繰り返す。

10時40分。
ようやく大天荘に到着。燕山荘から4時間も掛かった。
金剛山でも同じだが、ゆったり撮影するスタイルなのでどうしても時間が掛かってしまう。
昼食は冷やし中華。
常念小屋でガッツリ食べるつもりだったので1つを二人で食べることに。
普通に一人一食分しっかり食べるべきだった。
食堂は準備中だったので、談話室で食べさせて頂く。

11時30分、大天井岳も今日はパスして常念岳へ向かう。


20分ほど歩いたところのトラバースで、槍・穂高の展望が開けた。


太陽が上がり切って光線が逆光気味になり、色が出にくい。

涸沢ヒュッテが見える。70-300mmズームが威力を発揮する。
持ってきてよかったと思える瞬間。

槍・穂高を眺めながら、気持ちいいトレールが続く。

ミヤマキンバイ

石段で3方を囲んだ場所。
写真には写っていないが、何かの碑?のようなものがある。

12時40分。
東天井岳を巻いて道が直角に折れるところ。
以前は標識とロープがなく、正面のP2694へ行ってしまうこともあったらしい。

強い日差しでジンジン痛む腕を冷やす。
ついでにひんやりタオルを充電。

嫁さんは、今回は僕のキトラパック40に自分の寝具や食料も担いでくれているが本当によく頑張っている。
自分のペースでゆっくり歩き、景色を楽しむ余裕もあるようだ。
喜んでいる姿を見ると一緒に来てよかったと思う。

横通岳の巻き道を通過。
常念乗越までの下りが始まる手前で休憩をとる。
この手前では、ガレ場が少々あった。ここまでで一番大きい規模のガレ場だ。
浮石もあり手をついて座り込んで下りる場面もあるなど、今日一番の注意力が必要な場所。
ここから常念乗越まで約30分。
もうひと頑張りだ。

ここから激下りが始まる。

常念小屋が見えた。
ヤマケイ夏山JOY2011の常念岳の写真は、ここからもう少し左下から撮影しているようだ。
同じアングルを探したかったが、テン場の空きが気になったので諦める。

常念岳はガスの中。
雑誌の写真はたぶんこの辺りから撮影しているが、とにかくテン場へ急ぐ。

15時00分、2か所のテン場は既に満杯で、少し外れたところで張れそうな場所を整地する。
石が多く整地にかなり手間取り、1時間掛かって張り終えた。

IXY930IS
常念小屋で受付を済ませた帰り、テン場でNEMOオビテントを発見。
吊下げ式のダブルウォールでメッシュを多用し、1Pは1,300gと軽量化を図りながらも
居住性を確保している注目度の高いテント。
ソロ用として候補の一つ。

IXY930IS
もう少しで見えそうで見えない常念岳

IXY930IS
モンベルクロノスドーム2型が我が家。
今回の山では、モンベルのステラリッジをよく見掛けた。
昨日は隣接4件全てがステラリッジで、横の方は4人家族で4型?6型?かなり大きかった。
今日もテン場はモンベルが多い様子。
ステラリッジは山岳ちっくな黄色がカッコいいなあ。
居住空間を優先してクロノスにしたが色が選べたらいいのに。
他にはエスパースやプロモントなどもちらほら。
テントを見てるだけで楽しくなる。

IXY930IS
夕食のカルボナーラを食べた後、星空撮影を試みるがガスで不発。
晴れるのを待つが雷と寒さに敗退し9時ごろ就寝。

今日も肩が痛くなり、腕の日焼けがヤバイくらいヒリヒリする。
朝の6時50分から15時まで、昼食を抜くと7時間くらい掛かっている。
それだけしんどかったことも、こうしてテントで休んで
縦走路を思い出したりすると、全ていい思い出に変わる。
明日は最終日。怪我をしないように安全に下山しよう。
撮影機材
EOS 7D
IXY930IS
SIGMA 17-70mm F2.8-4 MACRO HSM
TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD (A005)
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| 北アルプス、飛騨山脈 | 23:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑